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Vol.1 JFOODO 北川執行役インタビュ ー

WTTOではこの度留学生の採用に関する悩みや企業の考えについて聞くインタビュー企画を

開始しました。第一回はJFOODO(日本食品海外プロモーションセンター)執行役 北川浩伸氏です。

北川さんは日本貿易振興会(当時)入会以降、イギリスやベトナム等への駐在をはじめ、

国内はもとより多くの国や地域を訪れ、その土地土地の企業や団体と接点を有してきました。

また、現在執行役を務めるJFOODOでは採用も担当し、人材発掘・人材育成に努めています。

 

 

PROFILE

北川浩伸執行役

北川浩伸執行役

 

JFOODO(日本食品海外プロモーションセンター)|1989年日本貿易振興会(当時)入会。

ロンドンセンター、総務部総務課長、サービス産業部長、ハノイ事務所長などを経て

日本貿易振興機構(JETRO)理事。2019年10月ベトナム政府より「ベトナムの投資計画事業への貢献」

に対し表彰を受ける。NHK「クローズアップ現代」などTV番組での解説の他、京都大学、

ベトナム・貿易大学、ホーチミン政治学院などの大学等でも講演多数。

慶應義塾大学大学院商学研究科博士後期課程単位満期取得退学。長崎県公立大学法人連携教授。


JFOOD

JFOODOは、豊かな自然が生み出した日本の食と食文化を広く世界に発信するために、

2017年日本貿易振興機構(JETRO)内に設立されました。日本の食のブランド力を

高めて輸出拡大に貢献することを目指し活動している組織です。



【今回のインタビューテーマ】

 ① 留学生を採用する理由
 ② 留学生の強みについて
 ③ 求められる人材について
 ④ 転職の捉え方
 ⑤ 留学生へのアドバイス


テーマ①留学生を採用する理由

ーー企業が留学生を採用する理由は何でしょうか?(小川)

留学生だから採用するということはありません。中小企業庁によると日本には約360万もの企業や組織があり、それぞれ業種・業態が異なります。当然、求める人材や“優秀”の定義も変わってくるでしょう。企業は、“自分たちの会社にとって優秀”な人材を採用したいと考えています。国籍ではなく、その人自身が会社に貢献してくれるかどうかという点が大切なのです。


ーーなるほど。会社に貢献できるかが大切なポイントですね。(小川)

まず、企業はなぜ人を採用するのか考えてみましょう。例えば、海外進出を検討した際、日本語しか話せず、相手国の文化も知らないメンバーでは事業は進みません。言葉や文化を理解し、両国をつなぐ懸け橋となる人材が必要となるのです。そこに国籍を問う必要はありません。企業が見ているのは、その人に懸け橋となる力があるかどうかということです。


ーー働く上でコミュニケーション能力が必要だと思いますが、いかがですか?(ムン)

コミュニケーションツールというのは言語に限らず、時には数字や音符も同様の役割を果たします。語学だけに頼らず、表情や接し方、態度も人的交流を深めるツールです。こうした能力は急に修得できるものではありません。様々な手段でコミュニケーションが取れるよう、今から力を付けておくと良いでしょう。


テーマ②留学生の強みについて

ーー北川さんから見て留学生の強みはどんなところだとお考えですか?(小川)

まず、そのチャレンジ精神は大きな強みだと考えます。わざわざ自国を離れ異文化に飛び込むことは、そう簡単にできることではありません。また、そこから得られる全ての経験は強い武器となるでしょう。


ーーたしかに自国の大学も選択肢にある中で、あえて異国の大学を選ぶという事はチャレンジ精神がなければできないことですね。他にもありますか?(小川)

異文化への理解があるということです。国が違えば、生活習慣も人との接し方も異なります。そのような異文化を実際に体験し、理解し、受け入れる能力というのは強みだと考えます。語学は留学しなくても修得できますが、座学では得られない学びこそ、大きな強みとなるでしょう。


テーマ③求められる人材について

ーーJFOODOではどのような人材を求めていますか?(ムン)

多様性のある人材です。我々の仕事は、日本の食や食文化を海外へ発信することです。まずは自国の食や食文化を熟知した上で、異文化の国や地域でも受け入れられるようなアプローチをしなければならない。それには単に言葉が話せるだけではなく、その地域や文化を深く理解し、尊重し、多様な発想でアクションできる人材が必要と考えています。


ーー「食」を扱うからこそ、より求められるのでしょうか。(小川)

食という分野は特殊です。人間、食べなければ生きられません。さらに言えば、食べられれば何でも良い訳でもない。それを「食の地域性」と考えますが、天候や土壌の違いで、人々が口にする物は大きく変わってきます。馴染みのない物を受け入れてもらうという意味で、食の海外展開は難易度が高い。だからこそ多様性のある人材が求められるのです。


テーマ④転職の捉え方

ーー企業は長く働ける人材を求めていると思います。短期間で離職してしまうことをどうお考えですか?(ムン)

コア人材とフロー人材で違うと思います。コア人材とは将来企業の中核を担い組織を支える人材のこと、フロー人材とはアルバイトやパートタイム労働者、派遣労働者などの労働力を意味しますが、いずれもその人に見合った仕事をしてもらうという意味では貴重な企業の資源です。企業運営にはコア人材もフロー人材も双方不可欠なのです。


ーー日本には終身雇用という慣習があります。転職は不利ではありませんか?(ムン)

日本人の働き方として終身雇用という言葉を耳にすることもあるかもしれませんが、真の意味で「終身」ということは現実にはないでしょう。働き方は多様になっています。また企業の在り方も大きく変わってきています。一概に転職が不利になるとは限りません。


テーマ⑤留学生へのアドバイス

ーー最後に就活を考えている留学生へアドバイスをお願いします!(小川)

ポイントとして2つあります。まず、自分が本当にやりたいことを決めましょう。それが一番大事なことです。企業の大きさや名前知っていることをもとに志願するのではなく、自分がやりたいことを出来る会社を選んでください。なぜなら、それが人生を通じて仕事の遣り甲斐や満足度となるからです。次に、たくさんのネットワークを作りましょう。就活に大切なのは情報量です。ネットワークを広げ、様々な情報を収集し、あなた自身の関係性を作ることは、希望する就職先を見つけるための近道となるでしょう。



インタビュアー感想:

小川岳登:慶應義塾大学商学部4年
自分が何をしたいのか決めなければならないというのがとても印象に残っています。企業が自分の会社の戦略に合わせて、人を採用するのと同じように、本来自分の戦略に合わせて、企業を選ぶという態度が必要なんだと感じました。就職するまでの残り1年をかけて、これからこうやって生きて行くんだと言える指針のようなものを作っていきたいです。

ムン・チェウォン:慶應義塾大学法学部3年
立派なオフィスに入り、立場の高い方に今回のような少ない人数で聞く機会はこれまでなかったのでとても緊張していました。ですが、今回インタビューを受ける中で就活で抱えているぼんやりとした不安が少し取れたような気がしました。参加することができて良かったです!



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